計画通りに行かないのに、経営計画を作る意味はあるのか!?
みなさまは経営計画を作っていますか。
経営計画をどのような目的で利用するかは、経営者それぞれだと思います。
一部には、どうせ計画通りにいかないのだから、手間暇かけて経営計画を作る必要はない、とお考えの方もいるようです。
この記事では、そもそも経営計画を何のために作るのか、という根本的な問いについて、改めて考えてみたいと思います。

この記事を読んで分かること
・何のために経営計画を作るのか分かる
・経営計画を作ることのメリットとデメリットが分かる
目次
経営計画を作るデメリット
経営計画に限らず、何事についても計画を立てて実行することは良いこと、というのが世の中の常識のように語られていますので、ここではあえて経営計画を作るデメリットから考えてみようと思います。
時間と労力がかかる
経営計画を作ることのデメリットの最初に挙がるのは、これではないでしょうか。
経営者は日々の営業活動や事務処理に追われて、なかなか経営計画まで手が回らない、というのが実態だと思います。
どうせ計画通りにならない
コロナ禍など、世の中の見通しが従来以上に難しい状況で、時間をかけて将来のことを考えるのは無意味、と思われることもあるかもしれません。
また、コロナ禍でなくとも、営業活動を行っていると予期しない事態が発生して、当初の計画から外れることは日常茶飯事です。
どうせ計画通りに事が進まないのであれば、貴重な時間と労力を割いてまで経営計画を作る意味が分からない、という理屈は一理あるように思えます。
去年とほぼまったく同じ結果になる
創業から数年が経過して、ある程度事業が安定してくると、毎年大体同じような規模の売上で、同じような利益になる時期がやってきます。
また、不動産賃貸業のように収益が一定で予測のし易い業態などは、わざわざ経営計画を作らずとも大体予想できる、ということもあります。
このような場合に、わざわざ時間をかけて経営計画を作るメリットはあまり無いようにも思えます。
経営計画を作るメリット
次に、経営計画を立てることのメリットについてみていきましょう。
金融機関から求められた際に、わざわざ作らなくて良い
現在、中小企業や個人事業の経営者の方が忙しい中、経営計画をしぶしぶ作成している理由は、この金融機関に求められるから、というのが一番多いのではないでしょうか。
金融機関から借り入れを行う場合は、ほぼ間違いなく経営計画もしくはそれに準ずる先行きの見通しについて聞かれます。
経営計画を毎年、予め作成しておけば、いざというときにも金融機関へ計画を提出して、スムーズに借り入れの手続きを行うことができます。
計画を立てて、将来の方向性を考える
経営者は創業当初、何らかの将来のビジョンをもって事業を始めたはずです。しかし、いざ事業を開始してみると、日々の営業活動に忙殺されて、当初の目標や計画といったものをつい忘れがちになります。
目的地に向かって出航したは良いものの、嵐に遭遇して沈没を免れるのが精一杯、といった船舶のような状況です。
例え忙しい状況においても、経営計画を年に一度、作ることで、初心に立ち返って事業の目的を思い出す、将来の夢の軌道修正を行うことは、良い人生を送るという意味においてもとても重要だと思います。
これは特に、毎年同じような経営成績になってしまっている場合にも有効です。
人間は永遠に生きられるわけではないため、どのような着地点を目指すのか、経営計画の作成を通じて、出口戦略を考える良い機会になります。
計画と実績を比較して、事業の状況を考える
個人的にはこれが経営計画を作る最大のメリットだと思っています。
この記事のタイトルにもある「計画通りに行かないのに、経営計画を作る意味はあるのか!?」の答えの部分でもあります。
事業が生ものである以上、計画通りに行かないことは想定内です。大切なのは、足元の状況が計画と比べて良いのか悪いのか、計画とずれている原因を立ち止まって考えることです。
日々の事業活動の中で忙殺されていると、足元の状況を振り返ることはなかなか難しく、まして経営計画がなければ、そもそも振り返るという発想自体がないかもしれません。
計画を立てて月に一度でも振り返ることで、事業は正しい方向に向かっているのか、上手くいっているとすれば原因は何なのか、ということを考えることが大切です。
そしてこの原因を深く考えることこそが、将来の事業の飯のタネになったり、思わぬリスクを回避するための予防策になり得るのです。
まとめ
経営計画を作ることは、一度立ち止まって、将来の理想の姿を思い描く良い機会になる
経営計画を作って、定期的に見直すことで、計画と実績がずれた場合の要因分析を行う機会が得られる
要因分析を行うことが、将来の収益獲得やリスク回避のための種になる
経営計画を作成していない方は、ぜひ一度、経営計画を作成してみることをお勧めします。
また、金融機関対策としてしぶしぶ作成されている方は、せっかく作成するのだから、上記を参考に有効活用されてみてはいかがでしょうか。
当事務所では税理士が経営者と一緒に経営計画を作成し、税理士が経営者と毎月面談して足元の状況を振り返り、計画達成に向けた対策を一緒に考えます。